タイトル『ユリヤのとある一日』

今朝早く、ロイが帰ってきた。夜勤だったため今日は一日休みらしい。
帰宅してシャワーを浴びすぐに就寝したロイに昼食の準備をする。2食分なので結構多めに。


本日の昼食は、BLTサンドウィッチに野菜たっぶりのミネストローネ。
もちろんお代わり分も鍋にたっぷりと入れておく。



その量をみて、はため息をつく。毎回、夜勤後はこれくらいの量は軽く食べてしまうロイ。けれども、その消費分が脂肪に変わった様子はない。男女の体のつくりが違うとはいえ、なんとも羨ましい限りである。


その日の分の洗濯などを終わらせて、は出かける。行き先は、いつもの通りイーストシティにある市立図書館。東部の田舎から出てきたが、ここの図書館はやはり故郷のものとは雲泥の差がありはいつも、この時間をとても楽しみにしていた。

まあ、この時間に余計な男に声をかけられたり、とあるひとには素がばれたりといろいろあったが。


図書館に入る。この独特な、外界とを一線を隔する雰囲気がは好きだ。中の様子も、静か過ぎて重すぎるということはなくほのぼのとした雰囲気がある。雑談程度の耳障りにならない声が絶え間なくしているせいだろうか?それとも、ここの人たちの穏やかな感じがそうさせるのか?きっと、両方なのだろう。


書架をブラウジングしつつ、ふと目に止まった表紙。

「花の色;もたらす効果と効用」
そういえば、ロイの家には花が少ない。庭はあるがそこまではまだは手を出していないのだった。

パラパラと見ていてふっと顔をほころばす。その本と他に数冊もって席に着く。

どれくらいの時間が経ったのだろうか。気づけば、夕方を過ぎて宵闇が迫ってきていた。その時が座っていた前の席に目を向けると、

「ロイ?」

いつの間に来ていたのか、ロイが座っていた。

「やっと、こっちの世界にもどってきたのか。」

苦笑しつつを見るロイ。さすがに幼なじみという期間が長かったためが本を読むとそっちの世界に没頭することを知っていた。

「帰るぞ。」

ぶっきらぼうな物言いだが、が書架に本を戻すのをさりげに手伝いそのままの手を繋いで帰路につく。

片手には本日の図書館での戦利品。もう片方は、今までの違いの証。今までに人の血に染まりその手で人を守り、これからこの国を変えようとする手。

「あ、ちょっとまって。」

そういって、は花屋である生花を買う。オレンジ色の風鈴を下げたようなものがたわわについている花。

「なんだ?珍しいな。」

「うん、偶にはね。」


その花の名前はキンギョソウ。オレンジの花。オレンジ色は胃や腸などを落ち着かせる効能がある。きっと日々のストレスが多いであろう彼。が無理をしないでほしいと思っていてもきっと彼は無茶をする。そんな彼の苦労を少しでもやわらげたいとの思いがこめられたキンギョソウ。
そんな二人を空から三日月が見守っていた。



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