タイトル『忍の努力、一般人の努力』
私に足りないのは、センスなんだと思う。しかも、決定的に。
去年の、この日は妙な具合だった。一般人の私には縁の無い火影によった呼び出し。その内容。
思い出したくも無い。
でも、在りうることだった。アイツの忍者としての資質を後世に引き継がせるためには優秀な血をもって交配させる。
そういうことは起こるんだ。これからも、カカシと付き合っているうちには。
私には無い。アイツにあげられるものなんて。優秀な血も、頭脳も。それでも、アイツは私のところに来る。
居る。抱く。私に出来ることは、わがままを言わないことだけ。足枷にはなりたくないから。
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『……っ』
その日は寝苦しくて眼が覚めた。隣には、上半身裸のままのカカシが寝ていた。行為の後、カカシに任務が無い時は
そのまま、隣で寝るようなになったのはいつからだっただろう。その剥き出しの胸に斜めに走る、新しい傷跡。
傷自体は、医療忍術で塞がっている。
傷の手当でさえ、私はできない。違う人間が、行う。
その真新しい傷跡をなぞる。
『どーしたのよ、?』
『新しい、傷。』
『う〜ん、この前の任務でちょっと、ね。』
『そう。』
上忍である男が触れられてまで、起きないわけもない。守秘義務があるから、語れないのはわかる、傷を負うことも
わかる。
でも、納得できないのは私がまだ人間ができていないから?
『な〜んか、言いたそうだね〜。
言わないの?。』
聞きたいことがある。たくさん、ある。ありずぎて、何から聞いたらいいのか、わからないほど。
だからかもしれない。私はどうも、言い回しが遠回りらしい。簡潔に言おうとすると極端になるらしい。
『何がほしい?』
『ん〜〜?今?』
『今。』
『。』
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って、違うんだ。私が聞きたかったのはそうじゃなくて、誕生日に何が欲しいかだったんだ。もちろん、その後
おいしく頂かれたことはいうまでもない。
誕生日は、一般人には特別なことでも忍には認識の薄いことなのかもしれない。とにもかくにも、今日は誕生日。
街に行ってみてみるか。
で、見つけて買ってしまった。
のは、コレか。即決で買ってしまった。
が、コレはもらって嬉しいものなのか。
ちょうど甘味処の甘栗甘から美味しそうな匂いがしたので寄ることにした。しらたまぜんざいを頼む。この甘さと緑茶の苦味がちょうど良く合う。と、そこへ、聞いたことのない声で知った名前を呼ぶ声が聞こえた。
「あ!カカシの彼女!!」
「ちょっとアンコ。相手に警戒されてるわよ。」
声の主を見て唖然とした。
くの一ということはすぐにわかった。格好が奇抜しすぎる。でも、唖然とするのはそれだけじゃなくて、なんでこうも露出が激しいのに違和感無く着こなしているのか。体型が、その服装にふさわしく出るとこがでて引っ込むところが
ひっこんでいるからか。
「え〜〜!!しんっじらんない、あいつ何にも言わなかったの!」
アンコと呼ばれた彼女はしらたまあんみつを私の席に持ってきていた。で、色々お叱りを受けている現在。
「なんで!なんで!あんたも不満を言わないのよ!まさか!不満が無いなんてことは無いんでしょ。」
「はあ。」
たったいま、聞いたこと。カカシが、今日任務で里外へ出ている、と。
「でも、忍だし任務だし、仕方ないし。」
「て、あんたねえ。」
呆れた、という表情で私を見るアンコ。すると隣で今まで成り行きを見ていた、たしか紅というくの一が言葉をつむぐ。
「あんまり何にも言わないでいると男のほうも不安に思うんじゃない。物分りが良すぎると、飽きられるわよ?」
「……」
なんで初対面でここまでいわれなければならないのか、少し腹が立った。でも、それは自分でも薄々、分かっていたことだから。
「そうよ。そんな風に表情でも何でも出したほうがちょうど良いんじゃないかしら。」
……出ていたのか。そりゃあ、嫌な思いのまま出てたとしたらさぞかし嫌な顔してたんだろうな。
でも、構っていられないから、席を立つ。
「おじさん、お勘定、ここね。それでは、失礼。」
「あーあー、行っちゃった。カカシも苦労するわね。自分の思い通りになる女ばっかりだったから。」
「だからじゃない?両方とも薄っぺらじゃない過去があるから、軽い付き合いになれないのよ。」
二日後。
カカシは現れた。
「おかえり。」
「ただ〜いま。いや〜、急な任務でね。」
「……うん……知ってる。聞いたの。」
誰に?と視線で問いかけられる。
「アンコと紅っていうくの一。」
「あー。あいつらね。」
それっきり、沈黙が流れる。カカシは、居間で寛いでいる。私はお茶と一緒にアレを持っていく。
「カカシ。15日、誕生日だったから、これ。」
「ん〜?あ〜、そうだったね、今年もまた、一つ年をとったんだっけ。」
がさがさと包みを開けるとそこからは、
「ダンベル?しかも黄色。」
それは、プラスチック製の中身の空洞なダンベル。水を入れて重くするタイプであった。
「訓練に使って。」
「ん。あーりがと。でもなんで、黄色?」
「……任務中とか他の女の前で、使うことなんて、ないでしょ?あと……」
「あと?」
「続きは来年の誕生日に言う。」
カカシに対して背を向けているので、アイツがどのような表情をしているかわからない。だから、言える。
「あの二人にちょっと怒られた。言いたいこと言えって。」
「……」
「だから言う。最近考えることが多いの。そのうちの一つ。
忍って誕生日の認識が薄い気がする。自分が生れた日。最初はそれを祝われている。でも、年を重ねる毎にソレは
他人の命の上に成り立っている。そう、思えてくるんじゃないのかって。でも私はその苦悩はまったくわからないの。
結局、私は人をこの手であやめたこと無いから。だから、できることあるかもしれないから、探す。」
「ん〜、あの夜言いたかったのはコレ?」
穏やかな声。どんな顔をして言っているのか見えない。背後から伝わってくぬくもり。
ゆっくりと、殊更ゆっくりと、じわじわと生暖かさが侵食してくる。
「違う。けど、もういい、かな。コレが一番大事だと思うから。」
「そっか。でも、何で黄色?」
「ん?三十路になるカカシに若々しいものを、と思って。」
途端、背後の温もりが消えていった。何事かと思って振り向けば、その場にへたり込むカカシ。
「え?あの悪ふざけとかじゃなくて、あの、真剣に……」
「いや〜、そんなあわてて言われると、なんかもっと衝撃が。というか打撃?こんな攻撃力高いの浴びせられる一般人
ってくら〜いよ。ほんと。」
その後、ぶつぶつ言うカカシの言葉を聞いて分かったこと。
どうやら、話を聞いていく内にわかったのだが三十路がいけなかったらしい。
「、俺はさ。おかえりって言って向かえてくれるこの時間は何よりも得難く貴重なものだと思ってい〜るよ。
来年もこうして迎えられるか、確実な約束はできないけれど。迎えられるように心がけて生きることが俺にできること
だと思ってい〜るよ。」
fin?
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