タイトル『いくら疑われたからって荷物みたいに銜えないで!息できないから!』

「頼みまさァ旦那ぁ。こっちも人手不足なんでィ。」
ここは歌舞伎町のバー「お登勢」の2階にある「万事屋」。その中で静かな攻防が繰り広げられていることは極一部のものしか知らない。要は当事者のみということ。
現在、この中にいるのは「万事屋」の主?坂田銀時、居候のチャイナ娘(酢昆布大好き)神楽、舎弟の新八。そしてなぜか真選組の隊長である、沖田総悟。
「くぉら!誰が舎弟だ!僕は従業員だ!」
…こんな突っ込みは置いといて、本編に戻ります。
「舎弟は舎弟でさァ。お前はもうその定めから逃げらんねェのさァ。」
「って、あんたも何本編そっちのけでこっちに入ってきてんの!!」

「あ〜、お前らもういいよ。お前は帰りなさい。自分の家に、ゴリラの待ち受けているところに。
ていうか、お前の依頼は受けねえの。前回ので懲りた。さんっざん、人のこと利用しやがって。」
魚の死んだような目、白髪、もとい銀髪の彼が言っているのは「煉獄関」事件の事を指す。沖田の私的な依頼ということで受けたのだが結果的には利用された万事屋メンバーだった。
「そら、奇遇ですな、旦那。俺の依頼にはそのことが関連してるんでィ。それどころか旦那たちも無関係ではないんでェ。」
「銀ちゃん、私嫌アルよ。こいつ絶対また何か隠しているアル。例えば私のことが好きとかネ。」
「な〜に言ってるんでェ。お前今すぐ介錯してやろうか?」
「ふん、すぐにそうやって構いたがるネ、オコチャマの証拠アルナ。」
「あ〜、もう収集つかないじゃないですか!いい加減にしてください!神楽ちゃん!沖田さんも!」
なんとか収集を勤めた新八。ちなみにその間、銀時は
「銀さんも!結野アナのテレビとか見てないで何とかしてくださいよ!」



「で?なんだって?俺達がこの女と関係してるだったか。」
沖田のもってきた写真を持ち上げる。そこには年のころは十代後半のように見える少女?がカメラを睨んでいた。
「ん〜、残念なことに銀さんロリコンじゃないんだな。関係も何もない…」
「『煉獄関』の情報を俺に売ったのがそいつなんでさ。」
ピクリと、銀時の手が止まり置きかけた写真をもう一度顔の前に持っていく。
「って、え?あの情報をこんな女の子が?」
なまじっか自分と同い年に近い少女なので新八の驚きも凄かった。というよりも信じられないほうが強いのかもしれない。
「な〜るほどな。コレもお前の私的な依頼ってわけだ。」
「ご名答。さすがは旦那でィ。」
「どういうことアルか、銀ちゃん。」
「あ〜。こいつが利用してる情報屋。もちろん真選組も使うこともあるだろうよ。しかも『煉獄関』ときたもんだ。こいつらが大手を振るって検挙できなかったのは背後に『天道衆』がいたからだ。
やつらにとっちゃこの女はそっち側にいれば安心だが、敵に回すと厄介。で、前回の件を機にお前らんとこに命が下ってんじゃねえのか?」
飄々と言っているがそれは正しく、沖田の言いたかったことを指しており普段はアレでも洞察力はすごいらしい。
「これまたご名答。で、その女は今ほれ、この通りなんでさ。」
そういって沖田は別の紙片を出す。そこには。
『指名手配。懸賞金100両。生死問わず。

名前: 
そして彼女の
顔写真と名前が載っていたのだった。
「ちょ、沖田さんこれ。」
「これは明日に発表の予定なんで、彼女見つけるタイムリミットは今日中なんでェ。俺は表向きはこいつの捜索しなきゃなんねェ。で?旦那、受けてもらえるんで?」

「……こいつを見つけたらお前はどうすんだ?屯所にゃ連れてけねえだろ。」
「旦那、受けてくれるんで?俺が知りてえのはそこでィ。な〜に悪いようにはしませんでィ。」


「今月分の請求書が溜まってたしなあ。」
「銀さん!」
「受けるアルカ!」
「そんじゃ、頼みましたぜ、旦那。」
すたこらさっさと去っていく沖田。そんな彼を見つつ他の従業員は胡乱な目つきで白い天パをみる。
「いんですか?まだ何も情報がないのに。そんな。」
「あ〜?新八、だからお前は新八なんだよ。そんなんじゃあ新一にゃあなれねえぞ。」
「誰だよ!新一って!ていうか、僕は長男だ!他に上の兄弟なんていねえ!!」

「ヤレヤレ。マミーの違う兄弟がいるかもしれないアル。新八。」
そっと、新八の肩に手を置く。その神楽の目には哀れみに、表面を覆って入るが隠し切れない楽しさが溢れていた。





「まったく、沖田さんがこんなの置いていっているなら最初から教えてくださいよ。」
新八の手に握られているのは扇子。どうやら、探し人の所有物らしい。これがあるならば、定春の鼻で簡単に探せるというもの。
「それにしても銀ちゃん、なんでアイツの依頼受けたアルカ?」
神楽も新八もそこが一番疑問だった。あっさりと何の黒い一面を見せることなく依頼を受けた銀時にかなり不思議と不安を感じていたのだった。
「お前らちょっと考えてみ。
こいつはあの真選組の沖田が知らない情報を教えてた奴だぞ?奴らの弱味だってしってるかもだろ?」
「それを盾に強請るアルか!!」
ニンヤリと笑う二人の背後には確かにカオスが存在し、新八は何度目かの再就職を検討したとか。
「そんじゃま、頼むぜ、定春!金のなる木はお前にかかってる!」

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「…う?」
「気ガツイタミタイネ。お登勢サン!」
が目をあけるとそこは見知らぬ天井とネコミミ付けた天人がいた。そして彼女が呼んだものが現れ、はやっと自分の状況を理解した。
「あんた二日くらい寝っぱなしだったよ。傷の方はあと少し遅かったら破傷風になりかけてたそうだよ。」
「……」
煙草片手に持っているお登勢には何を言ったらよいか分からなかった。

(確か、私は追われていたはず。それから二日後。
 
そろそろ焦れてなにか行動を起こしてくる頃かな。……この人たちは私を役所に突き出すかしら?)
は自分が何故幕府に追われているかなんとなくだが予想はついた。先日売った情報と相手が新聞に大きく載っていたからだ。情報の質からいってこっちにも飛び火するだろうことは予想できた。
だが、まさか「真選組」を使うとは。
自分が売った相手はその組織の一人。彼も微妙な位置にいるのではないだろうか。それよりも彼が口封じに自分を殺しに来るかもしれないことが今のところ確率の高い予想。
回復までここに居るか、彼女らを利用するか、悩みどころだった。
「まだ、熱が高いようだね。。」
「!?なんで、名前。」
「あんたが気を失う前に言ったんだよ。なんだい、覚えてないのかい。
それよりも何か食うかい?」
なんという失態だろうか。自分はあろうことか本名を名乗っていたのか。心身ともに追い詰められていたかもしれないといってそれはないだろう、と軽く自己嫌悪に陥ったが
食べ物は有り難い。なんとか少しでも回復して逃げなければ、の頭の中にはそれしかなかった。


「お〜いおいおい。またこのパターンかよ。ネタってのは二度繰り返しちゃなんねえんだぞ?糞犬。」
一方、銀時たちは定春に匂いを追わせて以前の簪のときのような結果にテンションがかなり落ちていた。定春のほうはどうも自身に向けられた悪口が分かるようで銀時に噛み付いていた。
「ぎゃあああ。」
「確かにおかしいですね。前回ならお登勢さんが本人ってこともありますが今回はこの人ここにいませんよね?
銀さん、頭から赤い潮吹いてますよ。」
「分かったアル!キャサリンがこの女アルヨ!銀ちゃん、いつまで潮吹いてるアル?芸ナイアルヨ。」
「おぉい、俺の状況を後回しにするような発言やめてくんない!せめて最初に言おうよ、そういうことは!
つーか、キャサリンはありえねえだろ。この女どう見てもそこまで齢いってねえぞ。」
陽はすでに傾き始めている。しかも場所はスナック「お登勢」の店先。うんうん唸っている3人+1匹に闖入者が。
「旦那、どんな感じでぃ?」
今朝も現れ颯爽と去っていったサド王子。
「だ〜れがサド王子でぃ。」
真選組沖田総悟。
「それが、沖田さ…ふごっ!ふごごご!ごご!(何するんですか!銀さん!)」
新八が定春のことを言おうとしたところ後ろから口をふさぐ銀時。目線で二人に何も言うな、と合図した。
「その女なら、ここに居るってよ。そういう結果だ。」
「旦那ぁ、嘘ならもっと、マシなの付きましょうャ。」
まさに一速触発。が、それもげしっという妙な効果音で途切れた。

「うるっさいよ、さっきからごちゃごちゃと!!」
見事なお登勢のとび蹴りが銀時の頭にクリーンヒット。しかもそこは先程定春に噛まれたところでもあった。
「なんなんだい!店先でぎゃーぎゃーと。営業妨害だよ!」

(なんだろう?外が急にうるさくなってきた?)
目を閉じ、寝たふりをしながら回りの状況に常に気を張る。
『おう、ばばあ。まさかと思うが最近、拾ってねえだろうな。』
『ああ?何をだい?』
『そいつみたいにでさァ。』
最後の声には聞き覚えがある。
それどころか一番、警戒している人物。
ばっと目を開けそこにいるのがキャサリンだけだと知る。そして、周りを見る。声の方向から入り口はあっち、窓がこっち。

「ドウシタ?」
目を覚ましているに気づいたキャサリンは彼女の不審な行動を訝しむ。
「!?チョ、チョット!」

表にいたお登勢たちの耳にキャサリンの驚いた声が聞こえた。次に彼女らに聞こえたのはガラッと言う乱暴に開けられた窓の音とそこから落ちたと思われる鈍い音。
「おいおい、ババア。猫でも拾ったのか?っ定春!」
音が聞こえると同時に店内に走る定春。
キャサリンの悲鳴。
何かがぶつかる音。そして定春は戻ってきた。神楽の元に、口に銜えて。

「おお、定春が新しい芸覚えたアル!」
「って違うから神楽ちゃん!どうかしたらこれ誘拐に繋がる可能性が…ってあ〜〜!!」


「やっと見つけたんでさぁ、。」


Created by DreamEditor