タイトル『鏡よ、鏡、私は甘党なのよ?』

「い〜つだったかな〜?あ〜〜〜。」
「なんなんですか銀さん。やぶからぼうに。」
万事屋で銀時は唸る。どうもしっくりこないというか、何かがひっかかっているのだった。
「どっかで、聞いたことあんだよな。」
、という名前を。うんうん、唸る銀時。そんな様子を見て神楽は、
「銀ちゃん、便秘アルカ?」
と、言うのであった。
「うぉい!銀さんにだって考えごととかあるわけよ?大体俺は、いつでもどこでも…」
「て、ちょっとまて!!その続きを言うな!全国の皆さんがお食事中かもしれないでしょうが!!」
と、いつもの通り漫才になっていたため銀時の頭のなかから、先程までのことはすこんとどこかに行っていたのだった。

一方、屯所。
の一室。ここは近藤勳の執務室。
「う〜ん、う〜〜む。」
こちらも唸っている模様。近藤の前には一枚の紙。トイレットペイパー、
ではなくて、山崎からの報告書だった。
「近藤さん、入るぜ。」
「おう、歳…と総悟もいっしょか。」
「ええ、まぁ。いつでもどこでも、土方さんの隙を見逃すわけにゃあいかねぇんでさぁ。」
という売り言葉に引っかかる土方ではない…わけはない。もちろん買う。こちらもあちらも最初のほうはギャグになるのは、致し方ないかと。都合によりここらへんの漫才は省きます。
「で、本題なんだが、コレをどう思う?」
そうして近藤の持ち出した紙には
『武器密輸の疑いアリ。幕府への謀反かもかも?いっちょ、偵察いってきま〜す。ば〜い、山崎。』
「ふざけてんのか、あいつ。」
まかりなりにも、局長への報告書をこのようにするのは山崎らしいといえばらしいが。
「いやいや、中々こうぐっと掴まれまさぁ。」
「何をだ!!」
「まあまあ、とりあえず置いといてその山崎が帰ってきたんだが。

どうにも煮え切らないらしい。」
かりかりと頭をかきつつどうにも困ったというように近藤は言う。
話はこうだ。
山崎のもとに幕府の謀反へのためぼ武器密輸の情報が入ってきた。その場所はなんと、砂糖製造所。よって、山崎はそこへ潜入捜査を行ったのだが…
結果は芳しくなかった。帳簿からも特に怪しい点は無い。密輸したという痕跡もない。だが、働いている面子がどうにも普通じゃない。浪人が8割なのだった。
工場長も元侍、動機は十分あるが談合する気配がないのだった。それでも時折、一部分に何かが起こったのは確実にわかった。それまでとは違う雰囲気を纏っており、それが全体に侵食するように伝播するのだった。
それと共に、残り2割の普通のパートさんたちもちょこちょこいなくなりその代わりに入ってくるのが浪人。
「ははぁ〜〜、それで山崎もくびちょんで帰ってきたわけでさぁな。」
訳知り顔で言う沖田。
「なっさけねえな。」と土方。
「どうしよう。」心底困った顔の近藤。
三者はそれぞれ、顔を突き合わせて考え込むのだった。
と、そこへお茶を告げる声がした。入ってきたのはだった。
「休憩にお茶でもいかがですか?」
そういって差し伸べられたのは香りのよい緑茶と最中と。
「お?なんか白いのがあるな?…ちゃん?目の錯覚でなければな〜んか角砂糖のように見えるのですが?」
「ええ。最中だけでは糖分不足かと思いまして。」
にっこりと、笑う。そこに悪意は全く感じられないところからこれが嫌がらせの類でなくことがわかる。釣られてにっこりと笑ってしまう近藤。その様子をきつく見ているのが土方。
沖田は、というともぐもぐ最中を食べているのだった。
「ところで、お前の情報網に引っかかってねぇか?砂糖工場関係ので。」
「ああ、謀反とか武器密輸ならあるよ。」
「なんだ、それくらいかぁ。ははははははは」
サラッというに思わず近藤たちもへぇ〜と流してしまった。その直後、沈黙。頭の中で解釈。そして、
「「「なに〜〜!!」」」
その音声は屯所内に響いたとか。


後日、新聞にはでかでかと真選組の手柄として載っていたとか。その新聞を見ながら土方は思う。
「ちっ、気にいらねえな。」
声は沖田の声で。
「おい、なんでてめぇは俺の心を代弁してやがる。」
「おおっと、そんな目くじら立てないでくだせぇ。俺もあのときのことには疑問だったんでさぁ。」
山崎ですら、できなかったことを簡単に済ましたに二人の隊長は訝しく思っていた。

一体どこから得たのか。経緯はどうなのか。
と。

「沖田〜?あ、いた。っと土方さんも一緒ですね。ちょっと出かけてきます。」
渦中の人、は素知らぬ風に現れた。
「どこにだ。」
答えたのは土方だった。しかも明らかに剣呑さを滲ませて。
「歌舞伎町、スナック『お登勢』、お礼に。」
その剣呑さに対して単語のみで返す。鏡のように。
「場所はわかるのかぁ?。」
「…わかる。」
沖田に対しても少し固い反応。それに二人は訝しむ。はじっっと沖田を見、続いて土方を見た。
「隊長二人は、怪しく思う。情報の女を?ってところかな。んじゃ、行ってきます。」
どこまでも軽く重要なことを言って行くに二人は呆然としていた。


(どうにも二人に怪しまれたみたい。そりゃそうか。私自身、なんであんなに簡単に言ったのかわかんないし。)
道中、は反芻する。のパターンとしては自身、情報を与えていいか吟味した後にさらっと言うのが定石だった。は何かを言う時には、それが大事なことほどサラッと言うようにしていた。
(多分、近藤さんかもね。あの人に似ているから。)
『鏡のようだね。アンタは。でもわすれちゃあいけない。鏡は、割れたらお終い。』
「鏡、か。」
自嘲気味に笑う。そこへ、やる気の無さそうな声が降ってきた。
「かがみ〜?」
「!!?えっ?」
おもわず、ぎょっとして声の方向へと勢い良く振り向く
そして、
「はぎゃ〜〜〜!!」
「オイィィィィ!いくら銀さんでもそんな声を間近で上げられたら傷つくから、ほんと。」
近かった。意外にも近かった。その距離1センチ弱。
「なんなのよ、なんなのよ!あんたは!気配なく背後に立ったかと思えば、近すぎるし!セクハラで訴えますよ!そして漏れなく勝ちますよ!」
「あ〜らら、この人勝つ気満々だよ、ちょっとぉ。こりゃあ、銀さん全力で応戦しないとね、布団で。」
「は?布団って何言って…って何考えてんだ!」
どうやら最初に聞き流した部分が戻ってきて理解に至ったらしい。
「ったく、調子狂うなあもう。」
「そうそ、そのまま乱れちゃってね、ほら銀さんの腕の中でも…はがふっ!」
回し蹴りヒット。
手は使えなかったためだ。なぜならそこには、お登勢たちへの手土産が。
そうしてすたすたと銀時を放っては一路、お登勢のところへ向かったのだった。

「っつぅ〜。……あっ。」
綺麗にヒットした右側頭部をさすりながら銀時はあることを思い出したのだった。そうしての後を追い、もちろん道中騒がしく、お登勢のところまで行ったとか。



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