タイトル『道草ばかりくってるとそのまま雁字搦めになるのが人生ですから。』

「で。一体何の用なんだよ。天下の真選組が万事屋に〜。」
頭を掻きながら相変わらずやる気の無さそうな銀時。その前には、何とも異様な組み合わせ。
「まぁまぁ、旦那。そう言わずに聞いてくだせぇ。こちとら、八方手を尽くしたんでぃ。」
「だ〜から、一体何なんだよ。お前達。なんで3人もこっちにきてるんですかぁ〜、このヤロウ。」
「ふん。」
「そうは言うが、全く持って皆目検討がつかん。一体、何でが急に消えたのか。」

が真選組から消えてもはや3日経っていた。
「大方、どっかのゴリラがデリカシーのないことでも言ったんだろ。あの年頃の女は、昨日は甘い物好きでも今日は辛いものが好き、
という複雑な……ぐわぁっ。」
「何、プータローのくせに分かったつもりしてるアルカ。」
銀時の言葉は途切れた。後ろから本物の乙女?な神楽によって制裁を加えられたのだった。
「とにかく、こっちももう時間がないんでさぁ。これ以上が見つからないと……」

「脱走、ということになるな。ま、俺ぁ最初からあの女にゃあ信用なんかできねえと思ってたよ。
しかも、少しとは言え真選組に籍を置いていたんだ。こっちの情報をいつ流されるかァ分かったもんじゃねえ。」
煙草をはきつつ、苦々しい顔をして述べる土方。
「で?最後に会ったのがそこのゴリラ、と。」
「オイィィィィ!誰がゴリラ?誰がゴリラ!」
「この状況から言って残りのあなたしか居ないでしょう。近藤さん。」
お茶をすすり、爽やかな笑顔とともに毒を吐く新八。どうやらお妙へのストーカー行為は続行中のようである。怨みがにじみ出ている。
「んで?何話したんだよ。」

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「あ〜、〜。どこだ〜。」
気の抜けた声がこだまする。ゴミのタンクの中から。
「あ〜、駄目だ。ここにはいねえなあ。」
「あったりまえだぁ!お前やる気あんのか〜〜〜!そんなとこにいるわけないだろうが!」
「がふぁ!!」
新八の見事な飛び蹴りが銀時に決ったのだった。
確かに、ゴミタンクの中には人はいないだろう。
「あんた!依頼には今までなんだかんだ言いつつ真面目だったのに!大体っ!!
なんであんなにあっさり引き受けたんですか?銀さん。」


『いいぞ。その依頼、引き受けてやるよ。』
どんな依頼でも一言二言は渋る、というか小言を言う銀時が今回に限りすんなり引き受けたのだった。しかもその依頼主はあの真選組。


これには、新八だけではなく神楽も、近藤たちも驚いた。近藤たち、特に土方と沖田にいたっては最後まで『絶対に何か裏がある』
『見返りを要求される』とぼやいていた。が、手を尽くしてもは見つからなかったのだからこの手しか残っていないのも事実。


「ほっとくね、新八。銀ちゃん、に惚れたアルヨ。普段モテナイ男が、惚れたら粘着質で執着が強いアル。これは、銀ちゃんに
見つからないほうがいいかもしれナイネ。」
「ってちょっと、神楽ちゃん!何冷静に言ってんの!そんなこと言って…って銀さん!あんたどこ行って!」
「あぁ?探してんだよ。」
そう言って探している場所は、
「そんなとこに

人がいるわけ、ないだろうがあぁぁぁぁぁぁぁ!?」

自販機の取り出し口であった。
因みに前回のように定春を使えば簡単なのだがその定春は、
「へぷしゅっ!」
花粉症を患っていたのだった。

一方、その探し人のはというと寝転んでいた。そうして己の手を伸ばし見ていた。
伸ばした手を自身の顔へ持って行き覆う。
また、手を伸ばし覆う。その繰り返し。
「で?一体どうしたんだい?ここに来るなんてよっぽど…だったのかい?」
男のような女のような心の気高い、ちょ、否、蛾がいた。西郷特盛であった。
「鏡もどきも壊れてるわよ。」
ちょうど顔を覆っていたの手の上に特盛は手を重ねる。
「まあ、好きなだけ居ていいわよ。葛葉にはお世話になったもの。」
葛葉、の言葉にが僅かに反応したのを重ねた手を通して特盛は感じた。
「何?」
「…あの人との関係がなかったら、特盛、今は無いの?」
「馬鹿にするんじゃねぇ。葛葉には世話になったがな、今を築いてるのはてめぇだろうが。」
「…うん。」
(でも、情報を必要とされなかった場合、私は…)

「何か呑むかい?」
「梅酒、ロック。」
「熱燗。」

「…んっ?」
今まで無かった声がある。しかもにとっては苦手とする例の天然パーマに似ていて。
ちらりと声のほうを見て、


顔を元に戻した。
「あらぁ、さらっと流したよ、この子。」
「…何か?」
「んあ〜?依頼だよ。ゴリラたちが家出娘を探し出してくれってな。ったく、どこに行ったかと思や、こんなとこに…」
「こんなとこたあ、なんだ、こら。」
妙にドスの効いた声。ここは西郷特盛の経営するオカマバーであった。
「イエ、すんません。」
の寝転んでいたところは、裏のほうではない。店内であった。お客たちは不審そうにを見ていたが側に特盛が居たために何も言うことはなかった。
そこへ銀時の闖入。いったい、どうやってここがわかったのやら。何せ頼みの綱であった定春は花粉症中なのだから。
「それにしてもよく分かったわね。ここが。」
先程のドス声こそどこにやったのかいつも通りの野太い逞しいオカマ声に戻っていた特盛。
「んあ?銀さんの情報網もそこそこ役に立つんだわ、コレが。」
「お登勢さんにでも聞いたんでしょ。」
「うぅわ〜、あっさり〜。銀さんの苦労も少しは分かってよ、ちゃん。なんせ定春は今、花粉症なんだからなあ。否、ホント大変だったよ、オイ。
お前探して3000里どころか、次元すらも越えてだなあ…」


「お!?さっき、溝を覗き込んでた兄ちゃんじゃあねえか。探し物はみつかったのかあ。」


「「「……」」」





「と、まあ、俺も困難の末にだな。その。」
「それのどこが困難だぁあああ!」
がしゃん、との耳に物の壊れる音が聞こえた。どうやら、特盛が制裁?を加えたらしい。一方は、銀時が現れてから目を覆ったままの状態であった。
「っつう、いってぇなぁ。銀さんの頭が悪くなったらどうすんの?こらぁ。」
「…大丈夫。それ以上ならないから、頭くるくるだし。」
「オイィィィィィ!この天パは、頭悪いからなってるんじゃあありませんよ!つうか、せめて髪の毛って言いなさい!まるで銀さんの頭がくるくるパーみたいじゃあ、ねえか!」


「白夜叉。かつて桂小太郎、高杉晋作、坂本辰馬らとともに攘夷戦争に参加。真っ白な髪を天人の血に染め上げ真っ赤になっていく様はまさに夜叉。」
訥々と銀時の過去を述べていく
「調べたの。あんたのこと。」
「へぇ〜。人権侵害だねえ、訴えちゃうよ、銀さん訴えて勝っちゃうよ〜。」
銀時はあくまでも、不真面目な姿勢を崩さない。はというと、端から見ても憔悴しているように見えた。一風変わった二人のことを遠くから眺めていたのは
特盛であった。


「どうせ、近藤さんたちの依頼でしょ。真選組の情報漏洩を恐れてってところ。」
「ん〜。まあなあ。分かってたんだろ。」
(分かっていた。だから今の状況は得策ではない。ソレをわかっていてもなぜか外に出ずにはいられなかった。)
あの後。
近藤と話した後、なぜか居てはいけないという気になった。そうして気付けば勝手に外にいたのだった。どこへ行くとも当てもなく彷徨っていた時、ちょうど知己であった
特盛と出会い今に至るのだった。
は自分が不安定な状態であることを理解、自覚していたが、その原因が分からずどうすれば良いのかも分からなかった。
真選組へは戻るわけにもいかなかった。ただでさえ信用が薄いところを固めずに抜け出し三日は経過しているのだから。
「よし、帰ぇるぞ。」
何事も無かったかのように手首を掴む銀時。そうしてソレを引き上げるとそのままの姿勢で畳の上をずるずると滑っていく
「おいおいおいおいおい。え?何これ?嫌がらせ?嫌がらせですか、このやろう。それともまだ、ここに居たいという意思の表れかよ。」
「…れ・な…」
「あぁ〜?」
「帰るとこなんてない。」



その言葉に銀時は自分の頭をがしがしと、掻く。
「で?」
「は?」

「他に言うことは?」



の手首を掴んだままその手は先程と同じように眼の上に置かれる。ただ一箇所違うのは銀時の手もその上に重ねられていた。
「帰れない。あそこ、居たらいけない。」


「そんな気がする。」
ぽつぽつと、小さな声で漏れる弱音。周りの騒々しさも相まって銀時に聞こえているかも怪しい。
それでも、言い続ける。特盛にも言わなかったことを言い続ける。それに一番、驚いているのは自身でもあった。

なぜか、銀時の前では鏡であることができないのであった。

「情報を求めていない。あそこ、いたら駄目。」
言うことを全部言ってしまったのだろうか、はソレきり押し黙ってしまった。
「馬鹿ですかこのヤロウ。」
の言葉を聞いていたはずなのだが、やはり聞こえていなかったのだろうか。そんな台詞が銀時の開口一番だった。
「てめぇは、つまり。アレだ、ソレだ。どれだ?
自身の価値は情報だけでソレを求められなかったら自分には居る意味はないと。」
「…」
「馬鹿ですか、このヤロウ。いや、完全なる馬鹿だな。てめえは、ぐだぐだと回りくどいんだよ。肝心なことは、何一ついっちゃいねえ。


、戻りたいのか。そうじゃねえのか。それが問題じゃあねぇのか。」




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