タイトル『血化粧の舞』
「というわけで、これが今回のお前たちの任務だ。」
そう言って、五代目が俺に渡した資料をみる。
「護衛ですか。」
「そうだ。あー、メンバーは悪いがこっちから指定させてもらうよ。」
「だー、もう、なんだってばよ。俺ってば修行があんのに!!」
「ちょ、ナルト。あんたねー師匠の怖さを知らないから」
そういうナルトとサクラを見ながら、こいつらも変わらないなと苦笑する。
第7班、数年前と違うのはこいつらの成長とスリーマンセルの中のたった一つの空白。
「あーもしもし。任務を言うぞー。」
今回の任務は踊り子の護衛。本日から二日間、木の葉の里に滞在する楽団の踊り子の護衛だった。
なんでも、この里に来るにあたり楽団内で揉めたらしい。踊り子がこの里に来たがらない、らしい。その理由というのも
どうやら、男女の関係絡み。ま、元恋人でもいるんでしょ、と検討をつけその場へ向かう。
「うわー、うわー。すっげえってばよ。」
今まで見たことが無いためか、ナルトの興奮は並ではなかった。
ほんとに変わらないねー、っとあちらは依頼人の団長かな。
「ははは、元気が良いなあ坊主。ま、護衛をきちんとしてくれりゃあ好きなだけこの場を楽しんで行け」
そういって、勢いよくがしがしとナルトの頭を弄る団長は、さすがまとめるだけある、というか豪快な人だった。
「うっす!」
「はっははは!おーい、皆、集まってくれー」
手を叩き全員に召集をかける。集まった人数はほんとに少数。これでよく楽団ができたな、と思うくらい必要最低限。
あー、だからか。五代目が護衛がてら手伝いもって言ってたのは。
「おい。はどうした。」
「えっと、姉さんはちょおおっと用事に。」
「ったく仕方ねえなあ。こちらはお前の護衛をしてくださる忍さんだ。」
そういって団長が指した女の子。どうやら護衛するのはこの子らしい。資料では21歳だったが、どうもそれより若く見える。
表情がころころと変わっているからそう思うのかもしれない。
「どうも、よろしく。カーヤよ。一応、踊り子よ。あと、もう一人私と同じ顔したのがいるの。」
「同じ顔?」
サクラが思わず聞き返す。そういえば、この子
「そう、双子の姉がいるのよ。でも、同じなのは顔だけだから、すぐに見分けられるわよ。えっと、」
「あー失礼。私ははたけカカシ、そして隣のがサクラとナルトです。」
そういうとカーヤは楽団の者たちも紹介していく。
「このおっさんが、団長よ。名前は他にあるんだろうけど皆そう呼ぶの、でシンバル担当のユイ、と琵琶担当のカナウ。
後は、歌担当の、5人よ。で、もちろん護衛の傍ら手伝ってくれるのよね?」
「あはは、えーそのように伺ってます。この二人が主にそれをがんばるでしょう。」
横から視線を感じたが、ま、それは無視っしょ。ん?
人の気配を感じ、そっちに目を向けると、
あー、この子か。確かに顔だけは同じだねー。
「!!どこ行ってた!」
団長の怒鳴り声が響く。
「あー、ちょっと用を足しに。」
いやいや、君は女の子でしょ。ってそうか、文字通りにとればたしかに用事を片付けにってことにもとれるか。
「なに?あんたら。」
顔だけ一緒。しかし無愛想、なんか偉そうで
あー、ナルトとかに反感買いそうだなあ。って、もうナルトがつかみかかってるし。
「サクラ。」
一言言えば、その意を察してナルトをとりなす。力技で、うーん、さすがはサクラ。五代目の弟子だ。
「いよおし、みんな、公演の準備にとりかかってくれ。」
団長の一言で皆、各々の準備にとりかかる。カーヤを除いて。
「カーヤさんは、手伝わなくて良いんデスカ?」
とりあえず俺も他の手伝いとかはナルト達に任せて話しかける。ま、この子が護衛対象だしネ、任務をサボってるわけじゃないからネ。
「うん、今のところ力仕事が主だから、万が一怪我とかしたら踊れなくなるし。私は私の準備にとりかかるの!」
はきはきと、笑いながら答えるカーヤをみて、うーん、ここまで双子で違うとは……とか考えながら不図その姉、に目を向ける。
たしか、彼女は歌担当。でもネエ、あの匂いは歌担当には良くないと思うんだけどねェ。
おっと、見てたのがばれたかな。
舞台の組み立てを手伝っていたがこちらを見る。俺はとりあえず、微笑んで(それを見ていたナルトが似非クサい云々というコメントをしていたが)
手を振ってみる。
「あらら、どうも警戒されてしまったようで。」
ふいっと顔を背けその場を離れていった。
(う〜ん、大抵の女の子には受けるんだけどネエ)
「あはははは、カカシさん、明らかに女慣れしてそうだもんね。、そういう人苦手だからなあ。でも、」
は素敵な人なんだよ、と続けるカーヤの顔は、に対して確かな誇りに満ちていた。
「これで、最後だってばよ!」
舞台の上に椅子を置き、小休止の後リハーサルを行うことになった。うーん、今のところ異常はなしっと。あらら、またの方はいないみたいだな。
「ありがと!ナルト!ほんと助かったよ。いつもこんな早くには終わらないから。」
ナルトに礼を言っているカーヤ、さっきとの違いは、化粧かな?うーん、さすが踊り子って感じだネエ。
扮装にちかい濃い化粧もそれなりに馴染んでるネエ。衣装もひらひらとした白い布、見えそうで見えないあたりがなんとも、
「カカシセンセ、」
隣のサクラがいつもより冷ややかに話しかけてきた。
「ん〜?」
「顔がやらしい。」
あ〜らら。ま、いつもイチャパラ読んでるしね。この辺のコメントは受け流しときますか。
とか考えていたら、鼻につく匂い。これは、
と匂いの方を辿ってみると
居た。
一服中の。やっぱりあの匂いは煙草だったノネ。
「あ!!!まーた、吸ってる!」
幾分、怒りに満ちた声を上げるのはカーヤ。いやー、お姉さんと違ってほんとに表情豊かな娘だこと。
「あーっと。大丈夫、声はでるから。」
全く悪びれもなくこちらに来る、あ。顔、顰めてる。
「もう、リハ今からなんだから早く早く。」
カーヤの言うままに舞台に上がっていく。なかば引きずられている感のなくもないが。
ん?今、上のほうで何か光らなかったか?
すぐ側から、ナルトとサクラの歓声が聞こえた。何事かと思い、目を舞台に向ける。
そこでは天女の羽衣のような布を、生き物みたいに動かしているカーヤの姿。ゆらゆら、揺れているかと思えば
くるくると回転したり捕まえられそうで捕まえられないような浮遊感漂う舞。
そこに若干ハスキーな歌声も混じる。
舞う乙女、とらえるは誰ぞ、
とらえられぬよ、彼の者以外に
乙女は待つ、彼の者を。愛おしいものを。
にげよ、乙女、
その身に
何をもっているのか、
にげよ、乙女
その身に想いのみこめて
その声に乗って舞うカーヤ、その舞に合わせて。双子の利点を存分に出している。
見惚れていた自分に気づく。否、聞き惚れていた、その声に。歌っている姿に。
ん?
「危ない!!」
がっしゃん、という音とともに落ちてきたのはバケツ。
そして、その下にいたのは
「カーヤっ!!」
楽団の者たちは一斉にカーヤの元に行く。そして、凍りつく。その場の鮮血に。
「いったーい。」
もぞもぞと動く物体。
「いやー、間一髪ダネ。」
腕にカーヤを抱いて、の隣に移動する。その際ちらりとの様子も見る。ありゃま、青ざめちゃってまあ。
被害はどうやらそこまでないらしい。鮮血かと思われた液体は、赤い水。カーヤは器用にも空になったバケツに足を打って打撲のみ。
「被害が少なくてよかったわねー。」
バケツが落ちてきたと同時に叫んだのはサクラだった。サクラも思わぬ被害のなさに安堵していた。
「被害、甚・大・よ!見てよ、この衣装!」
「あー…」
白く薄い布は赤く染まっていた。きっと落ちないだろう。
「仕方ないからこの色でいくわ。はあ。」
因みに洗ってはみた。が、やはり薄まることはあっても落ちなかった。なぜ、こんなにすぐに乾いたかというと
実は俺の火遁の術が影響していたりする。
ため息をつきつつ、着替えに向かう彼女を俺はみている。
そうこうする内に、舞台は本番。舞台脇から俺達3人は見ていた。護衛、という任務の名の元に。
ホントはもうそんな必要はないんだけどね。
サクラとナルトの様子からするとサクラは違和感は覚えているようだった。
ま、サクラは切れ者だからね。ナルトは……ま、これも予想通りっしょ。
「あれ?ってばいないってばよ。」
「ああ、なんかね。さん気分悪いんだって。」
そんな二人の会話を聞きながら俺は舞台を見る。踊り子は、真っ赤な衣装で舞う。その赤は血を思い出させる。
歌もない、シンバルなどの楽器の音にのみ舞う踊り子。
リハーサルの時とは違い、薄化粧な娘。それを補うかのような赤い色。赤い、血の化粧をまとった踊り子の舞い。
どうやら舞台は盛況に終わった。最後にはこの楽団がこの舞台をもって解散するという、衝撃をもって、ではあった。
さあて、彼女のとこにいきましょうかねえ。
「入ってもいいかい?」
「ええ、どうぞー。」
明るい声。さっきのようなハスキーな声でもなく、無愛想な声でもない。
「歌も踊りも、きれいだったネ、。」
「…やっぱり気付いたんだ。」
「まあね。嗅覚がするどいんだよ、仕事柄。で?種明かしはないのかな?」
想像はつくんだけどね。
「だまされたってばよ!!」
悔しそうに叫ぶナルト。まあ、でも気づかないのも無理はないが、違和感くらいはもたないとダメデショ。
カーヤはここにはいない。今どこにいるのか、それはここにいる誰もが知りえないこと。
事の顛末は簡単だ。
楽団のものがみんなで企んでいた、カーヤの駆け落ち。以前木の葉の里に来たカーヤは恋仲になった男がいた。
だが、団は他の国にも盛況。簡単には解散はできない。ならば、護衛の中から消えてしまえばいい。
その中で誤算は一つ。バケツがカーヤにあたりそうになったこと。これには皆おどろきで、位置に仕掛けて落としたも顔を青ざめるほど。
とにかく、カーヤにしか踊れないと思わせておけば舞台本番までのカーヤのアリバイはが補えた。本当は怪我の有無を確かめるときにと交代していた。
のほうは歌担当なのに煙草でのどをやられた、とでも言っておけばよい。二人は双子。姿はよく似ていたのだから。
「で?はこれからどうするの?」
「んー?木の葉にいるよ。」
一服しながら、長閑に答える。舞っている姿とも歌っている時とも違う。それでも、あのときから目が離せないのは、ナンデだろうネエ。
「へー。じゃあ、今度案内しよっか?」
「んー。…任務のついで?」
「いーや、ちがうよ?」
さて、この言葉にどんな返事がかえってくるのかな?
「なんで、ここだと思う?」
質問に質問で返すの!?しかも、脈絡なさ過ぎでは?それに、ここってどういう意味だ?
不覚にも頭の中は疑問符ばかりで、少しの間、間ができてしまった。
「カーヤと約束があったんだよー。」
最初からおれの答えは関係がないんですか!滔々と続ける。
「私に好きな人が、もしくは気になる人ができたら、自分はあの人とともに行く。そして、そのときにはカーヤに私の気になる人を見せる。」
……俺って、なんか気になるんだよねー、とか言う前に玉砕?
「だから、依頼のときに注文をつけた。
銀髪のへらへらしてる人って。」
あーらららら。これって、遠まわしに俺のこと?いやいやいや、木の葉の里に銀髪は俺しかいないでしょ?
というか、挙動があやしくなってない?
ま、その先はこれからゆっくりと聞きますか。
時間はたっぷりとあるみたいだし?
、俺の合格点まではかなーーりきびしいよ?
ま、それも覚悟しといてよ。
fin
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